戦国最強・武田信玄の真実～風林火山の旗印に込められた名将の生涯と謎

戦国時代、甲斐の国を拠点に天下統一を目指した武将・武田信玄。「風林火山」の旗印のもと、数々の戦で勝利を収め、「戦国最強」と恐れられた名将です。上杉謙信との川中島の戦いや、織田信長との対峙など、日本史に残る多くのエピソードを持つ信玄。その生涯は、戦国ファンのみならず多くの人々を魅了し続けています。

本記事では、武田信玄の生涯、主要な戦い、死因の謎、そして現代に残る観光スポットまで、詳しく解説していきます。

武田信玄とは？戦国最強と呼ばれた名将の基本プロフィール

武田信玄は、戦国時代の武将で、甲斐（現在の山梨県）の守護大名・戦国大名です。本名は武田晴信（たけだはるのぶ）といい、「信玄」は出家後の法名です。

大永元年（1521年）11月3日、甲斐国守護・武田信虎の嫡長子として誕生しました。幼名は太郎。母は西郡の有力国人・大井氏の娘、大井夫人です。

天文5年（1536年）に元服し、室町幕府第12代将軍・足利義晴から「晴」の偏諱を賜り、晴信と名乗りました。その後、天文10年（1541年）に父・信虎を駿河に追放し、21歳の若さで武田家第19代当主となります。

永禄2年（1559年）に出家し、「徳栄軒信玄」と号しました。以降、武田信玄として歴史に名を刻むこととなります。

信玄は、甲斐本国に加え、信濃、駿河、西上野、および遠江、三河、美濃、飛騨などの一部を領し、次代の勝頼期にかけて領国をさらに拡大する基盤を築きました。

武田信玄の生涯～父の追放から天下統一を目指すまで

誕生と若き日々

武田信玄が生まれた大永元年（1521年）は、父・信虎による甲斐統一の達成期にあたります。生誕地は躑躅ヶ崎館に付属した要害山城とされています。

大永3年（1523年）、兄の竹松が7歳で夭折したため、晴信（信玄）が嫡男となりました。その後、大永5年（1525年）には弟の武田信繁が生まれています。

天文2年（1533年）、扇谷上杉家当主・上杉朝興の娘が晴信の正室として迎えられましたが、天文3年（1534年）に難産で上杉の方も子も亡くなっています。

元服後、継室として左大臣・三条公頼の娘である三条夫人を迎えました。信玄と三条夫人の夫婦仲は非常に良好であったと伝えられています。

父の追放と家督相続

天文10年（1541年）6月、信玄による衝撃的な出来事が起こります。板垣信方や甘利虎泰、飯富虎昌らの重臣とともに、父・信虎を駿河へ追放したのです。

信虎追放の理由については諸説ありますが、『甲陽軍鑑』によれば、信虎が弟の次郎（武田信繁）を寵愛し、太郎（晴信）を疎んじていたとされています。また、信虎の政治方針に対する不満もあったと考えられています。

こうして、21歳という若さで武田家の第19代当主となった信玄は、戦国大名としての歩みを本格的に始めることとなります。

信濃侵攻と川中島の戦い

家督を相続した信玄は、まず信濃国への侵攻を開始します。

天文11年（1542年）6月、諏訪氏庶流である伊那の高遠頼継とともに諏訪領への侵攻を開始。諏訪頼重を甲府へ連行して自害に追い込み、諏訪領を制圧しました。

その後も着実に信濃国内での支配を拡大していった信玄ですが、天文17年（1548年）2月、北信地方に勢力を誇る村上義清と上田原で激突します（上田原の戦い）。この戦いで武田氏は敗れ、重臣の板垣信方、甘利虎泰らを失い、信玄自身も負傷しました。

しかし、信玄は粘り強く信濃侵攻を続けます。天文22年（1553年）4月、村上義清は葛尾城を放棄して越後国主の長尾景虎（後の上杉謙信）のもとへ逃れました。こうして東信地方も武田家の支配下に入り、信玄は北信地方を除き信濃をほぼ平定しました。

この頃から、信玄と上杉謙信（長尾景虎）との長きにわたる抗争が始まります。天文22年（1553年）から永禄7年（1564年）にかけて、両者は川中島で五度にわたる戦いを繰り広げました。

特に永禄4年（1561年）8月の第四次川中島の戦いは、一連の対決の中で最大規模の合戦となりました。武田方は信玄の実弟である副将・武田信繁をはじめ重臣室住虎光、足軽大将の山本勘助、三枝守直らを失い、信玄自身も負傷したと伝えられています。

甲相駿三国同盟と駿河侵攻

信玄は信濃侵攻に際して、周辺諸国との外交関係の安定化にも力を入れました。

天文23年（1554年）、嫡男・武田義信の正室に今川義元の娘を迎え、甲駿同盟を強化します。また、娘を北条氏康の嫡男・北条氏政に嫁がせ、甲相同盟を結びました。これにより、今川氏と北条氏も婚姻を結び、甲相駿三国同盟が成立しました。

しかし、永禄3年（1560年）5月、駿河の今川義元が桶狭間の戦いで織田信長に敗死すると、情勢が変化します。

永禄8年（1565年）10月、武田家では親今川派とされた嫡男の義信が廃嫡される事件が発生します（義信事件）。永禄10年（1567年）、今川氏の甲州への塩止め（交易停止）が行われ、武田と今川の同盟関係は急速に悪化しました。

永禄11年（1568年）12月、信玄は遠江での今川領分割を約束した三河の徳川家康と共同で駿河侵攻を開始。薩垂山で今川軍を破り、今川館を一時占拠しました。

この駿河侵攻により、北条氏康は今川氏救援のため出兵し、甲相同盟は解消されました。北条氏は越後上杉氏と越相同盟を結び、武田領国への圧力を加えました。

一方、永禄12年8月（1569年）には上杉氏との和睦が成立します。さらに信玄は常陸国佐竹氏や下総国簗田氏など北・東関東の反北条勢力との同盟を結んで後北条領国へ圧力を加え、永禄12年10月（1569年）には小田原城を一時包囲しました。

こうした対応策から後北条氏は上杉・武田との関係回復に方針を転じ、元亀2年（1571年）12月27日、信玄と甲相同盟を回復するに至りました。

西上作戦と最期

元亀2年（1571年）、織田信長は比叡山焼き討ちを行いました。信玄は信長を「天魔ノ変化」と非難し、比叡山延暦寺を甲斐に移して再興させようと図りました。天台座主の覚恕法親王も甲斐へ亡命し、覚恕の計らいにより、信玄は元亀3年（1572年）に権僧正という高位の僧位を与えられています。

元亀3年（1572年）10月3日、信玄は将軍・足利義昭の信長討伐令の呼びかけに応じる形で甲府を進発しました。これが有名な「西上作戦」の始まりです。

武田勢は諏訪から伊那郡を経て遠江に向かい、徳川氏の諸城を次々と攻略しました。12月22日には遠江・三方ヶ原において、徳川家康と決戦し、これに勝利しています（三方ヶ原の戦い）。

しかし、三方ヶ原の戦い後、信玄は浜名湖北岸の刑部において越年し、元亀4年（1573年）1月には三河に侵攻したものの、2月10日に野田城を落とした直後から度々喀血を呈するなど持病が悪化しました。

信玄は長篠城において療養していましたが、4月初旬には遂に甲斐に撤退することとなります。

元亀4年（1573年）4月12日、軍を甲斐に引き返す三河街道上の信濃国駒場で、武田信玄は死去しました。享年53。

臨終の地点については、信濃国駒場とされていますが、浪合や根羽とする説もあります。

「風林火山」と武田信玄の軍略

武田信玄といえば、「風林火山」の旗印が有名です。

「風林火山」とは、中国の兵法書『孫子』の「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」（疾（はや）きこと風のごとく、徐（しずか）なること林のごとく、侵掠（しんりゃく）すること火のごとく、動かざること山のごとし）から取られた言葉です。

この言葉には「風のように素早く動く、林のように静かに構える、火のように激しい勢いで攻撃、山のようにどっしり構えて陣形を崩さず動かない」という意味が込められており、戦いに挑む武士たちはこの言葉を胸に刻んで敵陣へ乗り込んだと考えられています。

信玄の軍略は、単に武力だけに頼るものではありませんでした。外交戦略、調略（敵方の切り崩し）、そして何よりも「戦わずして勝つ」ことを重視していました。

また、天文16年（1547年）には分国法である『甲州法度之次第（信玄家法）』を定めるなど、領国支配の整備にも力を入れています。

主要な戦い～川中島から三方ヶ原まで

川中島の戦い

川中島の戦いは、天文22年（1553年）から永禄7年（1564年）にかけて、武田信玄と上杉謙信（長尾景虎）が信濃国北部の川中島（現在の長野県長野市南郊）を巡って五度にわたり繰り広げた戦いです。

第一次から第五次まで行われましたが、中でも第四次川中島の戦い（永禄4年/1561年）は最大規模の激戦となりました。

この戦いで、武田方は信玄の実弟・武田信繁、重臣・室住虎光、軍師・山本勘助らを失い、信玄自身も負傷したとされています。一方の上杉方も多くの将兵を失い、両軍とも決定的な勝利を得ることはできませんでした。

川中島の戦いは、武田信玄と上杉謙信という二大名将の激突として、後世まで語り継がれる名勝負となっています。

三方ヶ原の戦い

元亀3年（1572年）12月22日、遠江国敷知郡の三方ヶ原（現在の静岡県浜松市北区三方原町）で行われた、武田信玄軍と織田信長・徳川家康連合軍との戦いです。

浜松城に籠城の構えを見せた家康でしたが、武田軍が浜松城を包囲せずに西上する動きを見て出陣しました。しかし、三方ヶ原において信玄軍と激突し、家康軍は大敗を喫しました。

この戦いは、徳川家康にとって生涯最大の敗北とされ、家康が恐怖のあまり馬上で脱糞したという逸話も伝わっています（ただし、史実かどうかは不明）。

徳川家康は命からがら浜松城に逃げ帰り、その後「しかみ像」と呼ばれる自身の敗北の表情を描いた肖像画を描かせ、戒めとしたと言われています。

武田信玄の死因～謎に包まれた最期

武田信玄の死因については、諸説あって判然としていません。

病死説

最も有力なのは病死説です。しかし、何の病気だったのかについては複数の説があります。

肺結核説： 信玄の侍医を務めたという御宿監物の書状によれば、呼吸するたびに苦しんで吐血していたようなので「肺結核」の可能性があります。江戸時代に書かれた『武家事記』によると、結核が原因と記されています。

胃がん・食道がん説： 進行した胃がんも吐血する症状が見られます。信玄は隔（横隔膜あたり）を病んでいたとも伝わっており、『甲陽軍鑑』では胃がんで亡くなったと記されています。近年の医学的見地からも、胃がんの可能性が高いとする研究があります。

日本住血吸虫症説： 信玄の侍医は触診において、信玄の腹が異常に膨れ上がっているとも記しており、寄生虫による感染症「日本住血吸虫症」も考えられます。この病気は山梨県などの一部地域で発生していた感染症で、結果として肝硬変になって亡くなったのかもしれません。

肝臓病説： 上記の日本住血吸虫症から派生する形で、肝臓病が死因だったとする説もあります。

胃潰瘍（ストレス性）説： 近年の研究では、戦のストレスによる胃潰瘍が原因だったのではないかという説も提唱されています。

鉄砲による負傷説

信玄が鉄砲で撃たれた怪我がもとで亡くなったという説もあります。しかし、この説については史料的な裏付けが乏しく、後世の創作である可能性が高いとされています。

信玄の遺言

『甲陽軍鑑』によれば、信玄は遺言で「自身の死を3年の間は秘匿し、遺骸を諏訪湖に沈める事」や、勝頼に対しては「信勝継承までの後見として務め、越後の上杉謙信を頼る事」を言い残したとされています。

ただし、遺骸を諏訪湖に沈めることについては事実ではなく、信玄の墓は恵林寺に現存しています。

信玄の死は、当初秘匿されていましたが、やがて諸国の大名たちに知れ渡ることとなりました。

武田信玄の性格と人物像

教養と文化

信玄は武将としてだけでなく、文化人としての一面も持っていました。

京から公家を招いて詩歌会・連歌会を行っており、信玄自身も数多くの歌や漢詩を残しています。信玄の詩歌は『為和集』『心珠詠藻』『甲信紀行の歌』などに収録され、恵林寺住職の快川紹喜や円光院住職の説三恵璨により優れたものとして賞賛されています。

また、漢詩は京都大徳寺の宗佐首座により「武田信玄詩藁」として編纂されています。

家族への愛情

信玄は長男・義信の廃嫡や婚姻同盟の崩壊による子女の受難などを招いている一方で、次男・信親が幼少期に疱瘡に罹った際、息子の目が治癒するよう祈願した願文や、娘・黄梅院の安産を祈願する願文が残されており、親としての深い愛情がうかがえます。

また、信玄と正室・三条夫人は夫婦仲が非常に良かったことが記録されています。武田家と交流のあった快川紹喜が記した円光院の葬儀記録によれば「武田信玄公とは、比翼の契り、夫婦仲が睦まじかった」「夫人は常に信玄公のお考えに寄り添って行動されていた」と書かれています。

元亀元年（1570年）に三条夫人が亡くなると、葬儀した寺を菩提寺とし、信玄がその法号から寺名を円光院と改めました。また、信玄が臨終間際の際に馬場信春を呼び寄せ、信玄が日頃から信仰していた陣中守り本尊と刀八毘沙門及び勝軍地蔵を託して、円光院に納めてもらうよう遺言したといいます。

戦略家としての信玄

信玄は単なる猛将ではなく、優れた戦略家でした。

『甲陽軍鑑』において信玄は名君・名将として描かれ、中国三国時代における蜀の諸葛孔明の人物像に仮託されています。

また、ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスの『日本史』では、武田氏について「彼（織田信長）がもっとも煩わされ、常に恐れていた敵の1人」と記されています。

フロイスは書簡で信玄について「戦争においてはユグルタに似たる人」「武力により畏怖され、部下より大に尊敬を受く。けだし小なる欠点といえども宥すことなく、直ちに之を殺害せしむるを以てなり」と評しています。

武田信玄の家紋と兜

武田菱（武田家の家紋）

武田家の家紋は「武田菱」または「四つ割菱」と呼ばれるもので、四つの菱形を組み合わせたデザインです。この家紋は、武田氏が甲斐源氏の流れを汲むことを示すシンボルとされています。

諏訪法性兜

武田信玄の兜として有名なのが「諏訪法性兜（すわほっしょうのかぶと）」です。

この兜の前立てには「南無諏訪南宮法性上下大明神」の文字が記された白い毛で作られた装飾が付いており、信玄の信仰心の深さを示すものとされています。

諏訪大社への深い信仰を持っていた信玄らしい兜といえるでしょう。

また、武田信玄のイメージとして定着している肖像画は、高野山持明院所蔵の「武田晴信像」（通称：成慶院本）です。この肖像画は、明治40年頃に東京帝国大学が発行した教育用掛図に採用されて普及し、現在も信玄の一般的なイメージとして広く知られています。

武田信玄ゆかりの観光スポット

武田信玄ゆかりの地は、現在も多くの観光スポットとして人々を魅了しています。

武田神社（山梨県甲府市）

武田信虎・信玄・勝頼の三代が居住した躑躅ヶ崎館の跡地に建てられた神社です。武田信玄を御祭神として祀っています。

境内には信玄が使用したとされる井戸や、宝物殿には武田家ゆかりの品々が展示されています。パワースポットとしても人気があり、勝運や開運のご利益があるとされています。

信玄ミュージアム（武田氏館跡歴史館）

2019年（平成31年）4月5日に開館した施設で、武田神社の目の前に位置しています。

国史跡・武田氏館跡に関わる歴史や史跡の見どころを紹介するガイダンス施設として、戦国大名武田氏がくらした館の歴史や概要を知ることができます。

展示室は、歴史に詳しくない方でも気軽に学べる常設展示室と、出土品などからより専門的に歴史を学べる特別展示室があります。常設展示室は無料、特別展示室のみ有料となっています。

基本情報：

営業時間：9:00～17:00
休館日：火曜日、12月29日～12月31日
アクセス：JR甲府駅北口からバスで約8分

恵林寺（山梨県甲州市）

武田信玄の菩提寺として知られる臨済宗妙心寺派の寺院です。

夢窓国師によって開山され、信玄が名僧・快川紹喜を招いて中興しました。信玄の墓所があり、武田家ゆかりの宝物も多数所蔵されています。

織田信長の甲州征伐の際に焼き討ちに遭いましたが、快川和尚が残した「心頭滅却すれば火もまた涼し」という言葉は、禅の精神を表す名言として今も語り継がれています。

庭園は国の名勝に指定されており、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。

川中島古戦場（長野県長野市）

武田信玄と上杉謙信が五度にわたって激突した川中島の戦いの舞台です。

現在は「川中島古戦場史跡公園」として整備されており、信玄と謙信が一騎討ちをしたとされる場所に記念碑が建てられています。また、両雄の銅像も設置されており、多くの歴史ファンが訪れています。

三方ヶ原古戦場（静岡県浜松市）

徳川家康が武田信玄に大敗した三方ヶ原の戦いの舞台です。

現在は住宅地となっていますが、古戦場跡の碑が建てられており、当時の激戦を偲ぶことができます。

信玄公祭り

毎年4月に山梨県甲府市で開催される、武田信玄の遺徳を偲ぶ祭りです。

最大の見どころは「甲州軍団出陣」で、1,000人以上が甲冑姿で市内を練り歩く様子は圧巻です。この武者行列は「世界最大の武者行列」としてギネス認定もされており、騎馬30頭を含む壮大なスケールで川中島の合戦への出陣を再現します。

2025年の第51回信玄公祭りは4月4日（金）～6日（日）に開催され、信玄公役には元宝塚歌劇団月組トップスターの紫吹淳さんが務めました。

祭りでは武者行列のほか、花火大会、屋台、太鼓演奏、忍者ショーなど、様々なイベントが開催され、山梨の歴史と文化を体感できる一大イベントとなっています。

来年以降も春に開催される予定ですので、武田信玄に興味のある方は、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

Q&A：武田信玄についてよくある質問

Q1. 武田信玄と上杉謙信はどちらが強かったのですか？

A. 川中島の戦いを五度にわたって繰り広げた両者ですが、決定的な勝敗はつきませんでした。両者ともに優れた戦略家・戦術家であり、「甲斐の虎」と呼ばれた信玄と「越後の龍」と呼ばれた謙信は、まさに好敵手同士だったといえるでしょう。後世の評価も分かれており、どちらが強かったかは一概には言えません。

Q2. 武田信玄が天下統一できなかった理由は？

A. 最大の理由は、織田信長との決戦を目前にして病死したことです。西上作戦で徳川家康を三方ヶ原で破り、織田信長を追い詰めるところまで迫っていましたが、持病の悪化により志半ばで亡くなりました。もし信玄が健在であれば、日本の歴史は大きく変わっていた可能性があります。

Q3. 「風林火山」とはどういう意味ですか？

A. 「風林火山」は中国の兵法書『孫子』から取られた言葉で、「疾（はや）きこと風のごとく、徐（しずか）なること林のごとく、侵掠（しんりゃく）すること火のごとく、動かざること山のごとし」という意味です。武田軍の軍旗に記されたこの言葉は、信玄の戦略思想を象徴するものとして有名です。

Q4. 武田信玄の子孫は現在もいますか？

A. はい、武田信玄の子孫は現在も存在しています。2021年11月3日に甲斐善光寺で営まれた「信玄公生誕500年祭大法要」には、信玄から数えて17代目の当主、武田英信氏らが参加しています。

Q5. 武田信玄はなぜ城を持たなかったのですか？

A. 信玄の本拠は躑躅ヶ崎館でしたが、これは近世的な天守を持つ城ではなく、館（やかた）と呼ばれる形式でした。信玄は「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という言葉を残したとされており（ただし史実かどうかは不明）、堅固な城を築くよりも、人材の育成と民の心を得ることを重視したと言われています。実際には、信濃侵攻後に海津城（後の松代城）などを築城しており、全く城を持たなかったわけではありません。

Q6. 武田信玄の有名な名言を教えてください

A. 『甲陽軍鑑』に記されている名言として、以下のようなものがあります（ただし、後代の仮託である可能性もあります）：

「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」
「戦いは五分の勝利をもって上とし、七分を中とし、十分をもって下とす」これらの言葉は、信玄の人間重視の姿勢や、慎重な戦略思想を表すものとして知られています。

Q7. 武田信玄と織田信長の関係は？

A. 当初は友好的な関係でした。永禄8年（1565年）には、信長の姪を養女として武田勝頼に嫁がせ、さらに信長の嫡男・織田信忠と信玄の娘・松姫の婚約が成立しています。しかし、元亀2年（1571年）の比叡山焼き討ち以降、信玄は信長を「天魔ノ変化」と非難し、元亀3年（1572年）には将軍・足利義昭の信長討伐令に応じて西上作戦を開始しました。両者は直接対決することなく、信玄の死により決着はつきませんでした。