
シャーロック・ホームズの読む順番で迷うのは、文庫の番号が、書かれた順とも物語の順とも違うからだ。
新潮文庫は全10冊。番号順に買うと、最初の長編『緋色の研究』は5冊目に出てくる。
しかも10冊目の『叡智』は、新潮文庫にしかない巻だ。ほかの5冊に入っていない8編が、ここにある。
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シャーロック・ホームズの読む順番は、文庫の番号では決まらない
角川文庫の金田一耕助のように、番号がそのまま読む順番になるシリーズもある。ホームズは違う。
新潮文庫の整理番号は ト-3-1 から ト-3-10 まで。1番が短編集『シャーロック・ホームズの冒険』で、長編は5番から始まる。
つまり番号順に買うと、ホームズとワトスンが出会う話を、短編集を4冊読んだあとで知ることになる。
番号で順番が決まるシリーズと比べたいなら金田一耕助シリーズの順番|全22冊の違いと、映画から入る3冊が対になる。
新潮文庫「シャーロック・ホームズ」全10冊
新潮社の公式ページに、各巻の整理番号・目次・ページ数が載っている。それを番号順に並べる。

| 整理番号 | 書名 | 中身 | ページ数 |
|---|---|---|---|
| ト-3-1 | シャーロック・ホームズの冒険 | 短編10編 | 480 |
| ト-3-2 | シャーロック・ホームズの帰還 | 短編10編 | 464 |
| ト-3-3 | シャーロック・ホームズの思い出 | 短編10編 | 432 |
| ト-3-4 | シャーロック・ホームズの事件簿 | 短編10編 | 400 |
| ト-3-5 | 緋色の研究 | 長編 | 256 |
| ト-3-6 | 四つの署名 | 長編 | 224 |
| ト-3-7 | バスカヴィル家の犬 | 長編 | 320 |
| ト-3-8 | 恐怖の谷 | 長編 | 320 |
| ト-3-9 | シャーロック・ホームズ最後の挨拶 | 短編8編 | 368 |
| ト-3-10 | シャーロック・ホームズの叡智 | 短編8編 | 336 |
長編は4冊、短編集は6冊。表の短編を足すと56編になる。
6冊の目次を突き合わせると、同じ話が二度出てくることはない。重複なしで56編が入っている。
10冊目『叡智』は、新潮文庫だけの巻
ここが、ホームズの文庫でいちばん間違いやすいところだ。
『シャーロック・ホームズの叡智』の目次は、新潮社の公式ページで読める。入っているのは次の8編だ。
- 技師の親指
- 緑柱石の宝冠
- ライゲートの大地主
- ノーウッドの建築士
- 三人の学生
- スリー・クォーターの失踪
- ショスコム荘
- 隠居絵具屋
この8編は、ほかの5冊の目次には1つも無い。だから1番の『冒険』を買っても、この中の話は読めない。
実際、新潮文庫の『冒険』の目次はこうなっている。
ボヘミアの醜聞/赤髪組合/花婿失踪事件/ボスコム谷の惨劇/オレンジの種五つ/唇の捩れた男/青いガーネット/まだらの紐/花嫁失踪事件/椈屋敷。
「技師の親指」も「緑柱石の宝冠」も無い。読みたければ、10冊目の『叡智』を開くことになる。
新潮文庫で読むなら、9冊で終わりにしない。10冊目まで買って、はじめて56編がそろう。
同じ本なのに、文庫で書名が違う
もう1つ、本屋で迷う理由がある。出版社によって書名が違うのだ。
東京創元社の公式一覧と光文社の公式ページで、実際の書名を確かめた。
| 新潮文庫(延原謙 訳) | 創元推理文庫(深町眞理子 訳) | 光文社文庫(日暮雅通 訳) |
|---|---|---|
| 四つの署名 | 四人の署名 | 四つの署名 |
| シャーロック・ホームズの思い出 | 回想のシャーロック・ホームズ | シャーロック・ホームズの回想 |
| シャーロック・ホームズの帰還 | シャーロック・ホームズの復活 | シャーロック・ホームズの生還 |
「帰還」「復活」「生還」は、同じ1冊を指している。書名だけを見て買うと、同じ本を2冊持つことになる。
創元推理文庫は全9冊。新潮文庫より1冊少ない。
途中で出版社を変えない。訳も書名も変わるので、そろえるなら最初に決めたほうがいい。
最初の1冊は『緋色の研究』か『冒険』
迷ったら、この2冊のどちらかでいい。
『緋色の研究』は、ホームズとワトスンが出会う話だ。2人がどうやって同居することになったかが分かる。
『冒険』は短編集で、1編が短い。通勤の行き帰りで1話ずつ終わるので、途中でやめても引きずらない。
私が薦めるのは『冒険』のほうだ。最初の1話「ボヘミアの醜聞」で合わなければ、そこでやめられる。
長編から入りたい人は『緋色の研究』。2人が出会う話なので、ここから読むと以降の巻がつながる。
いちばん短い長編は6番の『四つの署名』で224ページ。長さで決めるなら、こちらから入る手もある。
いま読んでいる話で、すぐ試せるもの
耳で聴けるかは、巻によって違う
通勤中に聴いて進めたい人もいる。朗読版があるかどうかは、巻によって違う。
2026年9月の時点で見つかったのは、3つの形だった。『緋色の研究』が1作まるごと、『回想』が1冊まるごと、そして『冒険』は分冊だ。
この『回想』は、新潮文庫の『思い出』にあたる巻だ。耳で入るときも、書名の違いはついて回る。
10冊ぶんがそろっているわけではない。朗読で入るなら、まるごと1冊で聴ける2つのどちらかになる。
取り扱いは時期で変わる。最新の状況は公式で確かめてほしい。
巻がそろっていないシリーズを耳で追うと、いま何巻目を聴いているのか分からなくなる。その起きかたはオーディブルでシリーズ物を聴くと迷子になる理由にまとめている。
長編を耳で追うなら、どれくらいの長さまでなら聴き切れるかが先に立つ。その目安はオーディブル おすすめ ミステリー|無料期間30日に間に合う長さは?の目安と比べると分かる。
10冊を電子書籍でそろえるなら、画面のほうも見ておきたい。56編を読み切るまで使う道具になるので、家電の反射率とは?映り込み・グレアで後悔しない選び方の基準が判断の材料になる。
先に映像で入るつもりなら、テレビ版は昔の作品なので画が粗いことを見込んでおきたい。どこまで粗いと気になるのかは写真画質の基礎知識:XGA解像度とは?が目安になる。
短編集は、収録の順番そのものが仕掛けになることがある。その例は十角館の殺人の結末を考察|仕掛けは目次に書いてあるで扱っている。
よくある質問
Q1. シャーロック・ホームズは何冊ありますか
新潮文庫は全10冊、創元推理文庫は全9冊です。同じ作品を、何冊に分けるかが違います。
Q2. 番号順に読めばいいですか
番号は読む順番ではありません。新潮文庫では長編が5番から始まるので、番号どおりに読むと出会いの話が後になります。
Q3. 最初の1冊はどれがいいですか
短編から入るなら『シャーロック・ホームズの冒険』、長編から入るなら『緋色の研究』です。どちらも1冊で完結します。
Q4. 新潮文庫の10冊目『叡智』とは何ですか
他の巻から8編を集めた、新潮文庫だけの巻です。技師の親指、緑柱石の宝冠、ショスコム荘などが入っています。
Q5. 「帰還」と「復活」と「生還」は別の本ですか
同じ1冊です。新潮文庫が「帰還」、創元推理文庫が「復活」、光文社文庫が「生還」という書名を使っています。
Q6. 朗読版はどこまでそろっていますか
10冊ぶんはそろっていません。2026年9月の時点では、『緋色の研究』と『回想』が1冊まるごと、『冒険』が分冊で見つかりました。
Q7. 出版社はどこを選べばいいですか
そろえやすさで選んでかまいません。途中で変えると訳も書名も変わるので、最初に決めるのがおすすめです。
どこから入るかは、読む時間で決まる
10冊あると身構えるが、1冊で完結するので入口は自由に選べる。読む時間の形ごとに、最初の1冊を考える。
ホームズを1冊も読んでいない人
1番の『冒険』は1編が短い。合わなければ1話でやめられる。
通勤の行き帰りで読む人
短編集は区切りが多い。降りる駅で止めても、続きを覚えていなくていい。
映像で先に知っている人
観た話の原作から入ると、記憶のほうを確かめられる。
10冊そろえたい人
新潮文庫なら10冊目の『叡智』まで。ここまでで56編がそろう。
シャーロック・ホームズを、版を決めてそろえる
番号は読む順番にならない。だから作品名で選ぶ。出版社をまたがないほうが、書名で迷わずに済む。
どこから入るかを決める
迷ったら、短編集か長編かの二択でいい。どちらも1冊で完結するので、合わなければそこでやめられる。
1番。電子書籍版。1編が短いので、通勤の行き帰りで1話ずつ終わる
5番。紙の文庫。ホームズとワトスンが出会う話。ここから読むと、残りの9冊がつながる
朗読で入るなら
朗読版は10冊ぶんそろってはいない。1冊まるごと聴けるのは、2026年9月の時点でこの2つだった。
長編を1作まるごと。2人が出会う話を耳から追える
短編集を1冊まるごと。新潮文庫の『思い出』にあたる巻
『冒険』は分冊。この巻に入っているのは2編だけ
新潮文庫の長編をそろえる
長編は4作。5番の『緋色の研究』を読んだら、残りは3冊になる。
6番。電子書籍版。長編4作のうち最も短い。創元では『四人の署名』という書名になる
7番。電子書籍版。3社とも同じ書名なので、版を変えても迷わない
8番。電子書籍版。長編4作の最後にあたる
新潮文庫の短編集を番号で追う
短編集は6冊。1番の『冒険』から順に足していくと、番号がそのまま目印になる。
2番。電子書籍版。創元では『復活』、光文社では『生還』にあたる巻
3番。電子書籍版。創元と光文社では『回想』という書名になる
4番。電子書籍版。晩年に書かれた短編が入っている
9番。電子書籍版。短編8編と少なめで、途中で止めやすい
10冊目『叡智』を忘れない
ほかの5冊に入っていない8編が、この巻にある。9冊でやめると、技師の親指も緑柱石の宝冠も読まないまま終わる。
10番。電子書籍版。新潮文庫だけの巻で、朗読版は見つからなかった
同じ10番の紙の文庫。棚に10冊そろえたい人はこちら
創元推理文庫(深町眞理子 訳)で読む
訳を変えると、同じ話でも文の呼吸が変わる。新潮を読んでから比べる人もいる。
紙の文庫。新潮と同じ書名なので、読み比べの1冊目に選びやすい
紙の文庫。新潮の1番と同じ書名で、訳者が違う。読み比べるならここ
電子書籍版。新潮の『帰還』にあたる巻。書名だけ見ると別の本に見える
電子書籍版。新潮の『思い出』にあたる巻
電子書籍版。ここは3社とも書名がほぼ同じ
光文社文庫(日暮雅通 訳)で読む
3社のうち、『生還』という書名を使っているのはここだけだ。全集としてまとまった訳で読める。
電子書籍版。新訳シャーロック・ホームズ全集の短編集。新潮の1番と読み比べる1冊
電子書籍版。出会いの話を、日暮雅通の訳で読む
映像で観てから読む
先に映像で入って、気に入った話だけ原作へ戻る人もいる。順番はそれでも構わない。
英国グラナダテレビ版。原作の短編を1話ずつ映像にしている
同じ作品の分売版。まず何話か観てから決めたい人へ
読み終えたあとに開く本
56編を読み終えると、今度は人物や地名のほうが気になってくる。そのときに開く本を挙げる。
事件と時代背景を図で見る。読み終えたあとの再読が変わる
登場人物から引く。誰が何巻に出てきたかを思い出したいときに
電子書籍版。持ち出さずに手元で引きたい人へ
電子書籍版。読み終えたあと、時代と地名をまとめて確かめたいときに
ここまで読んだ方が、次に選んでいるもの
まとめ|シャーロック・ホームズの読む順番は、番号でなく作品で決める
新潮文庫の番号は、書かれた順でも物語の順でもない。長編は5番から始まる。
10冊目の『叡智』は新潮文庫だけの巻で、ここに8編が集めてある。9冊で終わりにすると読み残す。
出版社をまたぐと書名が変わる。「帰還」「復活」「生還」は同じ1冊だ。
版によって中身が動くシリーズは、ホームズだけではない。
同じ作品が単行本と文庫で違う形になる例がガリレオシリーズ 読む順番|全11作と単行本・文庫の違い完全ガイド。小説と映像で並びが食い違う例が姫川玲子シリーズ 読む順番|全10巻を映画版と比較する対応表だ。







































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