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タイトルだけを見ると、恋愛小説だと思うかもしれない。始まりは、女子大生が父親を刺殺した事件だ。ここから先も結末には触れない。まとめるのは、刊行の経緯・直木賞の受賞・映画版の情報・Audible版の評価データ・向く人と向かない人だけだ。
島本理生『ファーストラヴ』の主人公は、臨床心理士の真壁由紀だ。この事件を題材にしたノンフィクションの執筆を依頼され、聖山環菜と周辺人物への面会を重ねていく(文藝春秋・作品特設サイト)。「家族」という名の迷宮を描く作品、とサイトでは紹介されている。
こんな人に向いています
向いている人と、向かない人を先に書く。
50代・映画版を先に観た
北川景子と中村倫也の掛け合いの印象が強く、原作の地の文ではどう書かれているのか確かめたくなりました。
30代・移動中の細切れ時間で読みたい
乗り換えを挟む移動が多く、まとまった時間が取れません。区切りながら聴けるAudible版が合っています。
40代・アイロンをかける30分に聴きたい
Audible版なら、アイロンをかけている間も物語が止まりません。
20代・直木賞受賞作を読んでみたい
受賞作から読書の幅を広げたいと思い、まず1冊としてこの本を選びました。
50代・368ページという分量に気後れする
ページ数を聞くと身構えますが、Audible版なら9時間43分。区切りながら進められます。
逆に、こういう人には向きません
- 事件そのものの謎解きを求めている人。犯人は最初から分かっている。動いていくのは真相ではなく、聞き取る側の心の位置のほうだ。
- 読後感の軽い一冊を探している人。Audible版の評価も星3以下が2割を超える。その多くは「重くて一気には進められなかった」という向きの感想だ。
- 家庭内の加害の描写を避けたい人。環菜の過去には性的な加害が関わる。直接的な描写は抑えられているが、話の芯にあるため避けて通れない。
臨床心理士・真壁由紀が、なぜ環菜の過去を追うのか
真壁由紀は、事件を題材にしたノンフィクションの執筆を依頼された臨床心理士だ。加害者である環菜本人だけでなく、彼女を知る周辺人物にも会いに行く。取材が進むほど、事件の輪郭は最初に見えていたものと違う形を見せ始める。
この作品の発見は、事件そのものの真相より、真壁自身の視点の動き方にある。他人の過去を掘り起こす仕事をしている真壁が、取材を通して自分自身の記憶とも向き合うことになる。誰かを理解しようとする行為が、そのまま自分を映す鏡になる構成だ。
刊行から映画化まで、数字で見る『ファーストラヴ』
| 刊行 | 単行本は2018年5月、文藝春秋から刊行(299ページ) |
|---|---|
| 受賞 | 2018年7月18日、第159回直木賞を受賞 |
| 文庫化 | 2020年2月5日、文春文庫より刊行(368ページ・税込781円) |
| 映画化 | 2021年2月11日公開、監督は堤幸彦、脚本は浅野妙子(119分) |
単行本の刊行年月とページ数は国立国会図書館サーチの書誌情報で、同じ回の受賞作は日本文学振興会の直木賞受賞者一覧で確認できる。文庫版の刊行情報は、出版社の書誌ページにある文藝春秋・書誌ページ。368ページという分量は、通勤の行き帰りで数週間かけて読み進めるくらいの長さになる。
映画版が持ち帰った、キャストの顔ぶれ
2021年公開の映画版では、北川景子が真壁由紀を演じた。ほかに中村倫也・芳根京子・板尾創路・石田法嗣・清原翔・高岡早紀・木村佳乃・窪塚洋介が名を連ねる。監督は『TRICK』『20世紀少年』などで知られる堤幸彦。
公式インスタグラムには、撮影時のスチールやキャスト陣のコメントが投稿されている。原作を読んでから確認すると、配役のイメージがより具体的に立ち上がる。
Audible版で聴くなら
Audible版のナレーターは松井玲奈で、再生時間は9時間43分。2026年8月にAmazonの商品ページで確認したところ、レビューは1,228件、評価は5つ星のうち4.1だった。
星の分布は、星5つが49%、星4つが28%、星3つが15%、星2つが4%、星1つが4%。星3つ以下も2割強あり、低い評価には「重い題材で一気には聴けなかった」という趣旨の声が目立つ。事件の背景に触れる内容のため、軽い気持ちで聴き始めると読後感が重く残る作品だ。

よくある質問
Q1. 映画を先に観ていても、原作は楽しめますか
A1. 問題ない。真壁の内面の動きや、環菜への向き合い方の細部は原作でしか分からない部分が多く残っている。
Q2. 続編はありますか
A2. ない。環菜と真壁の物語はこの1冊で完結しており、続きを別の巻で追う必要はない。
Q3. Audible版から先に聴いても、内容についていけますか
A3. ついていける。松井玲奈の朗読は場面ごとの間の取り方が丁寧で、文庫を未読でも人物関係を追いやすい。
Q4. 直木賞は初めての候補で受賞しましたか
A4. 違う。島本理生は第145回でも直木賞候補になっており、『ファーストラヴ』は2度目の候補となった第159回で受賞に至った。
Q5. 重い題材が苦手でも読めますか
A5. 虐待や事件を扱うため、軽い気持ちでは読み進めにくい。事件の背景を丁寧に扱う作品だと理解したうえで手に取るのが向いている。
読む時間がない人へ
368ページの文庫を読み切る時間が取れない日もある。Audible版なら、通勤や家事の時間に少しずつ聴き進められる。手元の一台を選び直すなら、Soundcore Liberty 4 Pro ― Anker社の全部入りワイヤレスイヤホンのほうが詳しい。
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ご褒美に取っておいた本が、賞味期限切れになっていませんか
読みたいと思った瞬間と、実際に手に取れる瞬間は、たいていずれています。そのあいだに名前のほうが消えます。
『ファーストラヴ』が気になっているなら、まず1章だけ聴いてみる手があります。聴き放題の対象なら、順番を決めずに次々と試せます。合わなければ途中でやめて、別の一冊へ移ればいい。選ぶ前に、聴いて決められます。
合わなければ、期間内にやめられます。
無料期間や対象はキャンペーンで変更されることがあります。申し込み画面で最新の条件をご確認ください。

『ファーストラヴ』を読み終えたら、次はどこへ
島本理生の作品には、家族や恋愛の危うさを描く軸が一貫している。読む形式・時期・テーマで分けて紹介する。
『ファーストラヴ』を、読む形で選ぶ
文庫は368ページ、Audible版は9時間43分。持ち歩き方に合わせて選べる。
島本理生の初期の代表作
デビューから20代にかけて書かれた3作。若い主人公の関係の危うさを描く作風が近い。
島本理生の近年の代表作
『ファーストラヴ』の前後に書かれた4作。家族・恋愛の痛みを描く軸は変わらない。
もう少し読み広げる
恋愛から家族まで、扱う距離が1冊ごとに違う。島本理生の幅が見える5冊。
石田衣良・角田光代・嶽本野ばら・森絵都との5人アンソロジー。軽めのタッチで読みたい気分の人に
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島本理生を耳で聴くなら
『ノスタルジア』は紙の本になっていない、音声だけの作品。能登麻美子の朗読で、ここでしか読めない1作がある。
同じ第159回直木賞で候補になった、もう一つの家族小説へ
窪美澄『じっと手を見る』は、『ファーストラヴ』と同じ第159回直木賞の候補作。読み比べると、家族の痛みの描き方の違いが見えてくる。
聴きながら/読みながら進める道具
通勤・家事をしながら進めたい人向けの3点。
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積んである冊数を、数えないようにしていませんか
時間がないのではなく、本を開く体力が残っていない日がある。それだけのことです。
耳からなら、手が塞がっていても物語は進みます。洗い物の15分、駅までの10分。その細切れが、そのまま読書の時間になります。
合わなければ、期間内にやめられます。
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この本の周辺を歩く
読む前に、決めておくとよいこと
この作品で最後まで動いているのは、事件の真相ではなく、他人の過去を聞き取る側の心の位置だ。誰かを理解しようとする行為が、そのまま自分を映す鏡になる。読み終えたあとに残るのは、犯人が誰かではなく、その手触りのほうになる。
だから、先に決めておくとよいのは1つだけ。紙で読むか、耳で聴くか。368ページを数週間かけて持ち歩くのか、9時間43分を通勤や家事の合間に区切って進めるのか。重い題材なので、一気に読み切ろうとしないほうが最後まで届く。映画版から入る手もあるが、真壁の内側の動きは文章のほうが細かい。順番に迷うなら、原作を先に読んでおくと、映像で削られた部分が見えるようになる。




















