
『舟を編む』は、実写の映画とドラマ、それにアニメと、3回にわたって映像になっている。主要な役は、そのたびに別の人が演じ直している。ここでは役ごとに横へ並べて、どの版で誰が担当したかを一覧にした。
この記事には広告(PR)を含みます。結末には触れません。
役ごとの一覧|映画・ドラマ・アニメ
作品の記録に載っている担当を、役ごとに並べた。「—」はその版に登場しないか、担当の記載がないものを指す。
| 役名 | 読み | 映画 2013 | ドラマ 2024 | アニメ 2016 |
|---|---|---|---|---|
| 馬締光也 | まじめ みつや | 松田龍平 | 野田洋次郎 | 櫻井孝宏 |
| 林香具矢 | はやし かぐや | 宮﨑あおい | 美村里江 | 坂本真綾 |
| 西岡正志 | にしおか まさし | オダギリジョー | 向井理 | 神谷浩史 |
| 荒木公平 | あらき こうへい | 小林薫 | 岩松了 | 金尾哲夫 |
| 松本朋佑 | まつもと ともすけ | 加藤剛 | 柴田恭兵 | 麦人 |
| 岸辺みどり | きしべ みどり | 黒木華 | 池田エライザ | 日笠陽子 |
| 佐々木薫 | ささき かおる | 伊佐山ひろ子 | 渡辺真起子 | 榊原良子 |
| 宮本慎一郎 | みやもと しんいちろう | 宇野祥平 | 矢本悠馬 | 浅沼晋太郎 |
| 三好麗美 | みよし れみ | 池脇千鶴 | — | 斎藤千和 |
| タケ | — | 渡辺美佐子 | 草村礼子 | 谷育子 |
この表でいちばん目を引くのが岸辺みどりの行だ。映画では黒木華、アニメでは日笠陽子、ドラマでは池田エライザが演じている。そしてドラマ版では、この役が主演に置かれている。
映画(2013年)のキャスト
主演は松田龍平と宮﨑あおい。監督は石井裕也、脚本は渡辺謙作。2012年夏に撮影され、2013年4月13日に松竹とアスミック・エースの配給で公開された。
上映時間は133分。英題は The Great Passage。興行収入は8.27億円と記録されている。
映画だけの設定
映画版は、物語の開始時点を1995年と設定している。原作は年代を明示しない。そして原作が「13年以上が経過した時代」とするところを、映画版は12年後としている。
年代を決めると、画が作れるようになる。髪型も服も机の上の物も、何年のものかが決まらなければ用意できないからだ。
詳しい変更点は 3回の映像化を比べた記事 にまとめてある。
ドラマ(2024年)のキャスト
『舟を編む〜私、辞書つくります〜』はNHK BSとNHK BSプレミアム4Kで、2024年2月18日から4月21日まで全10話が放送された。
主演は池田エライザ。演じるのは岸辺みどりで、馬締光也は野田洋次郎が演じている。脚本は蛭田直美、演出は塚本連平と麻生学、音楽はFace 2 fAKE。
副題が示していること
副題は『私、辞書つくります』。この「私」は馬締ではない。原作では13年後の場面から登場する岸辺が、最初から中心に置かれている。
同じ物語を、外から入ってきた人の目で語り直す形だ。だからキャストの並びも、原作や映画とは重心が違う。
アニメ(2016年)のキャスト

2016年10月から12月まで、フジテレビの「ノイタミナ」枠で放送された。馬締光也は櫻井孝宏、林香具矢は坂本真綾、西岡正志は神谷浩史が演じている。
監督は黒柳トシマサ、シリーズ構成は佐藤卓哉。キャラクター原案は雲田はるこで、この人は原作の装画も担当している。
辞書の監修が入っている
辞書制作監修とサブタイトルの語釈は飯間浩明が担当している。作中で扱われる語釈が、実際に辞書を作る人の手で書かれているということだ。
オープニングには実在の辞書11冊が週替わりで登場する。辞書出版社とのタイアップだ。サンリオとのコラボで、辞書を擬人化したキャラクターが出るミニコーナーもある。
2018年には第21回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の新人賞を、監督の黒柳トシマサが受賞している。
アニメ化で何が変わるかの一般則は アニメ版と原作の違いの記事 にある。この作品は、話数があるぶん原作の細部まで拾える側の例だ。

制作陣も、3回とも違う
| 映画 2013 | ドラマ 2024 | アニメ 2016 | |
|---|---|---|---|
| 監督・演出 | 石井裕也 | 塚本連平/麻生学 | 黒柳トシマサ |
| 脚本・構成 | 渡辺謙作 | 蛭田直美 | 佐藤卓哉 |
| 音楽 | 渡邊崇 | Face 2 fAKE | 池頼広 |
| 放送・配給 | 松竹/アスミック・エース | NHK BS | フジテレビ「ノイタミナ」 |
| 長さ | 133分 | 全10話 | 2016年10〜12月 |
演じる人だけでなく、作る人も3回とも入れ替わっている。同じ原作から3つの別の作品が生まれているのは、そのためだ。
キャストから入るなら、どれを先に観るか
| 目当て | 先に観るなら | 理由 |
|---|---|---|
| 松田龍平の馬締 | 映画 | 133分で完結する |
| 池田エライザの岸辺 | ドラマ | この役が主演に置かれている |
| 櫻井孝宏の声 | アニメ | 独白の量が3つの中でいちばん多い側 |
| 同じ役を比べたい | 映画→ドラマ | 岸辺の扱いの差が最も大きい |
| 制作陣の違いを見たい | どれでも | 監督も脚本も3回とも別 |
順番の一般則は 先に読むか先に観るかの記事 に、複数の映像化がある別の作品は 横関大『再会』の記事 にまとめてある。

原作を読むなら
キャストを覚えてから原作を読むと、頭の中で声が鳴る。特に3つ観たあとだと、同じ台詞が3通りで再生されるようになる。
原作は光文社から出ている。単行本は2011年9月16日、文庫は2015年3月12日の発売だ。
これから買うなら文庫を選べばいい。値段が下がるうえに、単行本には入っていない「馬締の恋文」が後ろに付いてくる。
2012年の本屋大賞を受賞した作品でもある。
読む時間が取れないなら耳という手もある。向く作品の選び方は 3つの軸で絞る方法 に書いた。
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文字が小さくて、読むのが億劫になっていませんか
読む気が失せたのではありません。文字を追う作業だけが、しんどくなっただけです。
『蜜蜂と遠雷』のように人物が多い作品は、声が付くと取り違えが減ります。朗読なら、文字の大きさは関係ありません。目を休ませたまま、物語だけが進みます。夕方で目が疲れている日ほど、差が出ます。
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3つ観るなら、環境を先に整える
映画133分、アニメ、ドラマ全10話。順に観ると20時間近くになる。続けて観るときにいちばん効いてくるのが、音を出せるかどうかだ。
深夜に音を絞る方法は 夜に映画を諦めない選び方 に書いた。家電を扱うサイト に、耳に入れる型と耳を塞がない型の使い分けを書いた記事がある。
3媒体で画づくりがどう違うのかまで気になり出したら、映像とカメラを扱うサイト のほうが答えが早い。実写とアニメでは、同じ場面でも見せ方の作法が違う。
画面の大きさで迷うなら 寝室のプロジェクター選び が参考になる。
よくある質問
Q1. ドラマの主演は誰ですか
池田エライザです。演じるのは岸辺みどりで、馬締光也役は野田洋次郎です。原作では岸辺は後半から登場する人物なので、ドラマは視点そのものが違います。
Q2. 映画の主演は誰ですか
松田龍平と宮﨑あおいです。松田龍平が馬締光也、宮﨑あおいが林香具矢を演じています。
Q3. アニメの声優は誰ですか
馬締光也が櫻井孝宏、林香具矢が坂本真綾、西岡正志が神谷浩史です。監督は黒柳トシマサ、キャラクター原案は原作の装画も手がけた雲田はるこです。
Q4. 同じ役を3人が演じているのは誰ですか
主要な役はほぼ全員です。馬締、香具矢、西岡、荒木、松本、岸辺、佐々木、宮本、タケが3媒体すべてで登場します。三好麗美はドラマ版での担当の記載がありません。
Q5. 3つとも観る必要はありますか
ありません。ただ、映画とドラマを両方観ると、岸辺みどりという役の扱いがどれだけ変わったかが分かります。そこがこの作品の映像化でいちばん大きな差です。
キャストから入る人は、たいていここで止まります
3媒体あるぶん、どこから手を付けるかで迷います。よくある4つを置きました。
20代・推しが出ている版だけ観たい
それで構いません。3つは同じ原作から作られた別の作品なので、1つだけ観ても筋は通ります。
30代・同じ役の演じ分けを見比べたい
映画とドラマを続けて観るのが早いです。岸辺みどりの扱いがいちばん大きく動いています。
40代・声優の名前で作品を選ぶ
アニメ版は独白の量が多い側です。声だけで人物の内側を出す場面が続きます。
50代・俳優の顔で覚えたい
実写2作から入ると人物が定着します。そのあとアニメを観ると、声だけで誰か分かるようになります。
原作と、その周りにある本
キャストを覚えたら、次は原作です。原作と同じ作者の作品、同じ賞から出た作品、そして作中で編纂されている辞書の実物まで並べました。
原作と、同じ作者の作品
演じている顔と声を覚えてから読むと、文章のほうが後から追いかけてきます。同じ作者の他の作品も、職業は違うのに手つきが同じなので続けて読めます。
原作。文庫にだけ「馬締の恋文」が入っています。2012年の本屋大賞受賞作です。
同じ作者の便利屋シリーズ。こちらも実写化されているので、キャストから入る人にも合います。
同じ賞から選ぶ|本屋大賞の受賞作
『舟を編む』は2012年の本屋大賞受賞作です。書店員が選ぶ賞なので、次の1冊を選ぶ物差しとしてそのまま使えます。どれも映像化されています。
受賞作の上巻。閉じた場所に人が集まる型で、登場人物の顔が早く立ちます。
4人の弾き手を並べて書く受賞作。集団を描く手つきが『舟を編む』と近い側です。
受賞作。人が入れ替わっていく形で、家族の定義そのものを問い直します。
仕事を書いた小説
辞書編集部の話が刺さった人は、たいてい「その世界の人が何をしているか」に反応しています。職業が変わっても、同じ角度から書かれた作品を並べました。
店員として働く人の内側を、短い文章で書き切った作品。読む時間は多くかかりません。
記者と当事者の両側から追う型。取材という仕事のやり方がそのまま物語になります。
連作短編。1話が短く、仕事として人に会い続ける側から書かれます。
作中の辞書に近いもの|机に置く中型
作中で編纂している『大渡海』は架空ですが、比べる相手は実在します。同じ言葉でも辞書によって定義の長さも語り口も違うので、1冊持つと作中の議論が実感になります。
語釈の書きぶりに個性があることで知られる1冊。作中の議論がそのまま現れます。
新しい言い方を比較的早く採る側。映画版の松本が目指した方向に近い辞書です。
定義を簡潔に切る側。作者が取材した出版社の1つが出しています。
映像化された小説から選ぶ
キャストから入る人は、映像化された作品を追うのが速いです。原作を先に読むと、配役の意図が見えるようになります。
実写化された推理小説。登場人物が愛称で呼び合うので、キャストを覚える練習にもなります。
映画化された推理小説。設定が特殊なので、映像と原作の差が出やすい作品です。
ドラマと映画の両方になった警察小説。原作の主役の重さが、映像でどう扱われたかを比べられます。
賞を取った作品から入る
新人賞や文学賞の受賞作は、選ばれた時点で構成が評価されています。はずれを引きたくないときの選び方として、いちばん確実な部類です。
複数の賞を取った作品。舞台が1か所に固定されるので、場所で迷いません。
各種ミステリランキングで上位に入った作品。会話が多く、耳でも追えます。
直木賞受賞作。だます側の視点で進むので、読み口が軽い側です。
『舟を編む』の記事
この作品は映像化が3回あり、版ごとに変わった点が違います。知りたいところから読めます。
- 舟を編む 映画と原作の違い|3回の映像化で変わった点を比べる
- 舟を編む アニメ版|実写2作と違い、辞書を作る人が監修についた
- 舟を編む あらすじ|ネタバレなしで骨組みだけ。結末には触れません
- 舟を編む ドラマ版キャスト|池田エライザの役は原作の主人公ではない
- 舟を編む 相関図|登場人物7人の関係を映画版とドラマ版で比較
- 舟を編む 文庫と単行本の違い|「馬締の恋文」はどちらに入っているか
- 舟を編む の意味|なぜ辞書を作る話が「舟」なのか
まとめ
『舟を編む』は3回映像化され、同じ役を3人ずつが演じている。
- 映画 2013|松田龍平・宮﨑あおい/石井裕也監督/133分
- アニメ 2016|櫻井孝宏・坂本真綾/黒柳トシマサ監督/ノイタミナ枠
- ドラマ 2024|池田エライザ・野田洋次郎/NHK BS/全10話
いちばん大きな違いは岸辺みどりの扱いだ。映画では脇に置かれた役が、ドラマでは主演になっている。

















