
アニメ版『舟を編む』は2016年、フジテレビの「ノイタミナ」枠で放送された。この作品には映画版とドラマ版もあるが、実際に辞書を作っている人が監修に入ったのは、3つのうちアニメ版だけだ。
この記事には広告(PR)を含みます。結末には触れません。
放送の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 放送 | 2016年10月〜12月 |
| 枠 | フジテレビ「ノイタミナ」 |
| 監督 | 黒柳トシマサ |
| シリーズ構成 | 佐藤卓哉 |
| キャラクター原案 | 雲田はるこ(原作の装画も担当) |
| 制作 | ZEXCS |
| 主題歌 | OP「潮風」岡崎体育/ED「I&I」 |
キャラクター原案の雲田はるこは、光文社から出ている原作の装画を描いた人だ。本の表紙にいた人物が、そのまま動き出す形になっている。
辞書を作る人が監修に入っている
辞書制作監修と、各話サブタイトルの語釈を、辞書編纂者の飯間浩明が担当している。作中で交わされる語釈の議論が、実際に辞書を作る人の手で書かれているということだ。
これは映画版にもドラマ版にも無い。3つの映像化の中で、アニメ版だけの特徴になる。
なぜそこまでするのか
この作品の山場は、走ることでも戦うことでもなく、言葉の定義を書くことにある。「右」をどう定義するか、という荒木の質問が、物語の入り口に置かれている。
そこを本職が書くかどうかで、作品の芯が変わる。アニメ版は、その一点に手を掛けた。
OPに実在の辞書が11冊出てくる

オープニング映像には、実在の辞書が週替わりで登場する。全部で11冊。辞書出版社とのタイアップで、毎週違う辞書が画面に出る形だ。
作中で編纂している『大渡海』は架空の辞書だが、比べる相手として実在の辞書が並ぶことで、作業の重みが見えるようになっている。
辞書を擬人化したコーナーもある
サンリオとのコラボで、辞書をキャラクターにしたミニコーナーが付いている。海くんが『大渡海』、ヒロシが広辞苑、リン太が大辞林、泉くんが大辞泉にあたる。
本編が静かな作品なので、この軽さが息継ぎになっている。
受賞
2018年、第21回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で、監督の黒柳トシマサが新人賞を受けている。
映画版は第37回日本アカデミー賞で6部門の最優秀賞を受けている。3つの映像化はどれも評価されていて、アニメ版もその1つだ。受賞の詳細は 3回の映像化を比べた記事 に並べてある。
実写2作との違い
| 映画 2013 | アニメ 2016 | ドラマ 2024 | |
|---|---|---|---|
| 長さ | 133分 | 2016年10〜12月 | 全10話 |
| 主演 | 松田龍平 | 櫻井孝宏(声) | 池田エライザ |
| 辞書の監修 | — | 飯間浩明が担当 | — |
| 原案・装画 | — | 雲田はるこ(原作の装画) | — |
| 視点の中心 | 馬締光也 | 馬締光也 | 岸辺みどり |
| 独白の量 | 抑えめ | 多い | 中 |
いちばん大きな違いは視点だ。映画とアニメは馬締を中心に置くが、ドラマは原作で後半から出てくる岸辺みどりを主演にしている。
誰がどの役を演じたかは キャストを役ごとに並べた記事 にまとめた。
岸辺は8話から出てくる
アニメ版で岸辺みどりが登場するのは8話からだ。日笠陽子が演じている。原作では13年後の場面から出てくる人物なので、時間が飛ぶところで入ってくる形になる。
ここを知らずに観ると、後半で急に人が増えたように感じる。そういう作りだと分かっていれば、置いていかれない。

観る順番
| こんな人 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 原作を読んでいない | アニメ | 話数があるぶん、原作の細部まで拾える |
| 2時間で終わらせたい | 映画 | 133分で完結する |
| 辞書の作り方に興味がある | アニメ | 本職の監修が入っている |
| 池田エライザ目当て | ドラマ | この役が主演に置かれている |
| 3つとも観る | 映画→アニメ→ドラマ | 短い順。差が積み上がって見える |
実写化で何が変わるかの一般則は 先に読むか先に観るかの記事 に、複数の映像化がある別の作品は 横関大『再会』の記事 に書いた。
聴きながら観るなら、音を先に整える
全12話を続けて観ると、それだけで数時間になる。深夜に音を出せない事情があると、そこで止まる。ここは道具で解ける。
夜に音を絞る方法は 夜に映画を諦めない選び方 に書いた。家電を扱うサイト には、耳を塞ぐ型と塞がない型の使い分けを比べた記事がある。
作画の見え方まで気になり出したら、映像とカメラを扱うサイト のほうが答えが早い。実写とアニメでは、同じ場面でも光の作り方が違う。
画面を大きくしたいなら 寝室のプロジェクター選び が参考になる。
原作を読むなら

アニメを観てから原作に戻ると、省かれた場面が見えてくる。特に西岡の心情は、文章のほうが長く書かれている。
原作は三浦しをん。光文社から出ていて、いま新しく買うなら文庫が並んでいる。これから買うなら文庫でいい。値段が下がるうえに、単行本には無い「馬締の恋文」が付く。
2012年の本屋大賞を受賞した作品でもある。
読む時間が取れないなら耳という手もある。向く作品の見分け方は 3つの軸で絞る方法 に書いた。
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寝る前の時間が、なんとなく画面で終わっていませんか
疲れているときほど、手軽なほうへ流れます。責めるような話ではありません。
『舟を編む』を読んだ人が次に選びがちな本も、同じ棚に並んでいます。目を閉じたまま聴けるので、画面の光を浴びずに済みます。眠くなったところで止めても、次の日は続きから始まります。
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よくある質問
Q1. アニメは何話ありますか
2016年10月から12月まで、ノイタミナ枠で放送されました。岸辺みどりは8話から登場します。
Q2. 声優は誰ですか
馬締光也が櫻井孝宏、林香具矢が坂本真綾、西岡正志が神谷浩史、岸辺みどりが日笠陽子です。
Q3. 原作を読んでいなくても分かりますか
分かります。むしろ3つの映像化の中では、アニメ版がいちばん原作の細部まで拾っています。先に観ても筋を追えます。
Q4. 映画とアニメ、どちらから観るとよいですか
2時間で終わらせたいなら映画、辞書を作る作業そのものを見たいならアニメです。両方観るなら、短い映画から入ると差が分かりやすくなります。
Q5. 辞書の監修とは何をしているのですか
辞書制作の監修と、各話サブタイトルの語釈を辞書編纂者が担当しています。作中に出てくる語釈が、実際に辞書を作る人の書いた文章になっています。
アニメから入る人が、途中で止まるところ
全12話は、まとまった時間が要ります。よくある4つの詰まり方を置きました。
30代・通勤の行き帰りに1話ずつ
1話が短いので往復で1話ずつ進みます。8話から人が増えるので、そこだけ集中できる日に回すと楽です。
40代・家事をしながら流したい
この作品は手元の作業を映す場面が多く、音だけだと落ちます。原作を耳で先に入れておくと画が補えます。
60代・辞書の紙面が画面で潰れて見える
作中は辞書の紙面を映す場面が続きます。小さい画面だと文字が判別できず、見どころが落ちます。
20代・人の名前が覚えられない
馬締・西岡・荒木・松本と、似た響きが並びます。声が付くぶんアニメは取り違えにくい側です。
作中の辞書と、そこから広がる本
作中で作っている『大渡海』は架空ですが、OPに出てくる辞書は実在します。手元に1冊あると、語釈をめぐる議論がそのまま実感になります。原作と、隣に置ける本も並べました。
原作を読む|アニメで削られた部分
アニメは原作の細部までよく拾いますが、それでも文章のほうが長い場面があります。特に西岡の心情は、読むと印象が変わります。同じ作者の他の作品も並べました。
原作。文庫にだけ「馬締の恋文」が入ります。2012年の本屋大賞受賞作です。
同じ作者の便利屋シリーズ。会話で人物を立てる書き方が共通します。
同じ作者が林業を書いた作品。仕事の手順そのものを物語にする型が同じです。
作中の議論に近い辞書|机に置く中型
語釈は辞書ごとに違います。同じ言葉を3冊で引き比べると、作中で登場人物が何を争っていたのかが分かります。まず1冊なら中型から。
語釈の書きぶりに個性があることで知られる1冊。読み物としても成立します。
新しい言い方を比較的早く採る側。作中の松本が向かった方向に近い辞書です。
定義を簡潔に切る側。作者が執筆時に取材した出版社の1つが出しています。
収録語数の多い辞書へ移る
中型で足りなくなったら、収録語数の多いものへ移ります。作中の『大渡海』は見出し語24万語の設定で、大型辞書の規模にあたります。
約25万項目の大型辞典。作中の規模に最も近い実在の辞書です。
1つ前の版の普通版。中身を確かめてから最新版に移りたい人向けです。
子ども向けですが総ルビで語釈が短く、家族で引くならこちらが速いです。
アニメ化された小説から選ぶ
『舟を編む』が合った人は、静かな話でも最後まで観られる人です。同じようにアニメ化された小説を、原作から入る形で並べました。
高校の部活を舞台にした連作。人が死なない推理で、読み口が軽い側です。
アニメ映画にもなった受賞作の上巻。閉じた場所に人が集まる型です。
同じ作者の作品がノイタミナ枠になっています。文体そのものが仕掛けです。
本屋大賞から次を選ぶ
『舟を編む』は2012年の本屋大賞受賞作です。書店員が選ぶ賞なので、次に何を読むかの物差しとしてそのまま使えます。どれも映像化されています。
受賞作。1つの出来事を長い年月で見直していく形です。
調律師を書いた受賞作。職人の仕事を書く型が『舟を編む』と近い側です。
受賞作。訓練の場面が細かく、手順を追う面白さがあります。
会話が多く、耳でも追える
アニメで声に慣れた人は、朗読との相性がいいです。会話の比率が高い作品は、耳で聴いても人物を取り違えにくくなります。
会話で進む推理小説。ランキング上位に入った作品です。
連作短編。1話が短く、細切れの時間でも区切りがつきます。
直木賞受賞作。だます側から進むので、テンポが速い側です。
『舟を編む』の記事
この作品は映像化が3回あり、版ごとに変わった点が違います。知りたいところから読めます。
- 舟を編む 映画と原作の違い|3回の映像化で変わった点を比べる
- 舟を編む キャスト一覧|映画版・アニメ版・ドラマ版で主役が入れ替わる
- 舟を編む あらすじ|ネタバレなしで骨組みだけ。結末には触れません
- 舟を編む ドラマ版キャスト|池田エライザの役は原作の主人公ではない
- 舟を編む 相関図|登場人物7人の関係を映画版とドラマ版で比較
- 舟を編む 文庫と単行本の違い|「馬締の恋文」はどちらに入っているか
- 舟を編む の意味|なぜ辞書を作る話が「舟」なのか
まとめ
アニメ版『舟を編む』は、2016年のノイタミナ枠。3つの映像化の中で、辞書を作る人が監修に入った唯一の版だ。
- 辞書制作監修と語釈を、辞書編纂者の飯間浩明が担当
- OPに実在の辞書が11冊、週替わりで登場する
- キャラクター原案は原作の装画を描いた雲田はるこ
- 2018年に文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 新人賞
原作の細部まで拾いたいなら、ここから入るのがいい。


















